「まるかーさる」の巻
ブッカース、ブッカーサルといえば、高齢者は薯(いも)洗い棒、二本の棒を×の形に縛ってたるの中に薯を洗う道具などを連想する。いまはそんな道具も見なくなったが、元の語は「交わす」に接頭語のウチをつけたものである。「言葉を交す」「呼び交す」といえば互いに○○し合うということで、「枝を交す」というよきには「枝を交錯させる」という意味になるから、ブッカースは枝を交すと同じ用法である。「背中っカーセ」という言葉もあった。子だくさんの時代には兄弟がひとつの布団に背中を合わせて寝たりしたものだが、そのようなときに言った。
秩父にはこの用法でマルカーサルという珍しい方言がある。「丸交さる」で、複数の人が丸くなること。円陣を組んだり、まとまって力を合わせることを言う。
4~500年前の幾つかの文献に同じ意味でマルカルという言葉が見えるが、その系列上にある貴重な方言といえるだろう。