「ちょっくら」の巻
本誌「髙橋体験隊のちょっくら行ってんべー」なる連載がある。
このチョックラの先祖はチョットで始祖はチトである。
『徒然草』にある「チトものを尋ねる」のチト。
これは量目的にはチットとなり、時間的にはチョットと枝分かれしてつかわれている。
江戸時代後期にくだけた言い方としてチョックラが生まれた。
1835年の『春色辰巳園』に「ちょっくら行ってきておくれ」という会話文が見える。
チョックラはチョックリとも変化して『東海道中膝栗毛』(1802)では「チョックリ面さァみせてくれ」と言っている。
秩父では出来事があった家にちょっと挨拶に出向くことを、チョックラ辞儀という。
その時に着いていく衣服がチョックラ着物。
ボロを引きずった普段着では失礼だし、かといって改まった正装を用意しているわけでもない庶民の、あまい着古していない取って置きの衣服のことである。