「ちっとんべー」の巻
前々回のチョックラに続いてチットンベー。
「いくらチョッピリでいいったって、そんなチットンベーじゃァ足りやしねぇ。チョックラ貸してみぃ。オレがチット手頃な分量を教えるから」。
場面はご想像に任せるが、このチットンベーは、チョッピリの程度がチョッピリすぎると言っているわけである。
秩父では、わずかとか少しということをチットンベーという。
これは数量の他に「チットンベー待ってくんない」などと、時間などにもいうことがある。
これも始祖の言葉はチト。
これが一四七七年の『史記抄』の頃に「チット休息して」となり、同時に同じ本で「チョット明かりて」という変化もみせている。
これがチョックラ、チョックリ、チョッピリともなり、明治になってからチョビ髭の語も生まれている。
さてこのチットンベーだが、これはチットバカリが秩父言葉の特徴として揆音便のンを加えて威勢のいい表現にしたものである。