「そらっぺー」の巻
お釈迦様は生まれたとたんに立ち上がって右手で天を左手で地を指差して「天上天下唯我独尊」と唱えたという。
牛や馬じゃぁあるめぇし、生まれたとたんに立つことなんどができるもんかと思うのは俗人で、それほど並外れた偉人だったという話。
ところで、昔の日本人は天上界と地上界をはっきり区別し、天上は神、地上は人の住む場所と考えていた。
『古事記』などの神話でも、天上の神が天沼矛で下界の海を掻き回して引き上げた時に垂れた滴が島になったと、陸の成り立ちを説明している。
その考え方では、天と地の間が空なのである。
空は訓ではソラ、音ではクウというがそこは何もない空間である。
空虚、空家などは空っぽ、何もないという意味で、秩父でいうソラッペーもこの類である。
口偪に虚しいと書いて嘘、言葉に実がないこと。
つまり言葉の内容が空っぽなこと。
実のない作りごとは空っぺーというわけである。