「かたけに」の巻
「そんなカタケに食うと、腹が痛くなるよ」子どもの頃、夢中で頬張って、親からそんな事を言われた覚えのある人は多いだろう。
言い方から、カタケとはたくさんという意味にきこえるのだが、カタケとは?
三二〇年ほど前の『西鶴織留』に「男とあるべき者は・・・たとへ片食は食わずとも」という一節がある。
これは一食は食わなくともということである。
当時、日本人の食事は一日ニ食が普通だったから、朝晩どっちかの食事が片食だったのである。
一日三食になったのは江戸中期からのことだが、その後もカタケということばだけは残っていた。
「食」をケというのは古い日本語の名残である。
神主さんが祝詞を奏上するとき「大神の大前にミケミキ奉り・・」というが、これは「御食、御酒」のこと。
「お御酒」という古語はいまでも全国的につかわれている。
したがって、ここでは間食を片食(一食)に食べては食べ過ぎだよということである。