「おっかど」の巻
1月15日の小正月は、1日の大正月に対する言葉である。
この日は座敷に繭玉飾りをして繭の豊作祈るように、生産を予祝する日である。
千年も前の『枕草子』に、この日宮廷の女官たちが粥杖を隠し持っていて、知らずに通りかかる女官の尻を叩いて笑いに興ずる話があるが、叩かれた女性は丈夫な子を産むとされていて、江戸時代にも各地で行われていた記録がある。
粥杖とは小正月の朝、小豆粥を煮るときに使うオッカドで作った徳性の箸のこと。
真ん中を太く、両端を細く削るので、秩父ではハラミ箸とかメズラ箸という。
秩父及び各地農村ではこの箸を軒や畑にさして豊作を祈った。
オッカドは木質が軟らかくて細工して易しい木で、削り花や粟穂、稗穂、また便所の守り刀なども作る漆科のヌルデの木だが、門を飾るこういう飾り物を御門棒とよんだのが、いつしかそれを作る木の名称となったものである。