「隠ねっこ」の巻
カクネッコ・オニッコは、秩父の昭和の子どもの遊びだった。
東京中心の言い方では、カクレンボ・オニゴッコである。
「隠ねる」は「隠れる」の方言だから、パソコンで入力しても出てこない。「隠れ」とは、人に知られずにいること。だから「隠れもない」といえば、周知のこと。古代には尻のことをカクレといった。人体の隠れているところである。死ぬことを「お隠れになる」というのは、貴人の死を憚った言い方。
平安時代の『宇津保物語』(970年頃)では「隠れ遊び」と言っているが、後には、その言い方は、人に隠れて遊郭などに行く意味になった。1604年に成立した『日ポ辞書』には「隠子(かくれご)」と載っている。カクレンボは「隠坊」と書いて、やはり1600年代の文献に出始める。
秩父のカクネッコは栃木・群馬・長野と埼玉では秩父~入間辺りの言い方である。全国ではその呼び方は98通り採録されている。