「ほーりゃい」の巻
東京の友人が秩父の屋台の掛け声を聞いて、普通ワッショイだよなと不思議がった。たしかに美空ひばりの歌に「ワッショイワッショイ景気をつけろ塩撒いておくれ」というのがあるが、それは深川八幡宮の祭り囃詞で、全国的には様々なものがある。東京に多いワッショイは朝鮮語のワッセーに似ているというが、青森のねぶた祭りではラッセーである。
また、友人はホーリャイはオーライが訛ったのではとも言った。なるほど、秩父屋台が造られた年代には、江戸では洋語のオーライが大流行で、読み本の会話にも「ヲヲライライ」が出てくる。江戸文化を競って取り入れた新し物好きの秩父っ子が、新築した屋台に洋語を採用したと考えるのもおもしろい。
だが、京都木津川市のソーレヨイヤ、兵庫のヨーイヤサー、大阪だんじりのソーリャイなどを聞くと、秩父も元はソーレヤイではなかったかと思えてくる。秩父弁ではソラをホラ、ソレをホレ、相槌のソウカイをホーケーと言った。ソーレヤイがホーリャイになるのは自然なことだったはずである。