「うっつくねる」の巻
久しぶりにサツマ芋堀りの手伝いに出た息子。
刈り取った芋蔓を手に「父ちゃん、この蔓はどうするん」と聞く。
「うん。そけーらぃうっつくねておけい。」「うっつくねる?」
「そけーらぃぶっつんでおきゃーいいんだよ。」
今の若い人には“ウッツクネル”はわからないようだ。
江戸の川柳に「三国の雪やつくねて富士の雪」がある。
駿河、甲斐、相模三国の雪を集めて積み上げたのが富士山の雪なのだという句。
ツクネルとは幾つかの物をまとめて一つにすることとか、手でこねて丸め固めることだが、「打(う)っ」という接頭語がつくと、いかにも雑然と積み重ねるといった感じになる。
ぶっつむも、漢字で書けば打(ぶ)っ積むだから、意味はほとんど同じことである。
しかし、この二つの共通語のうち今では積むの方が優勢になり、ツクネルの方は年輩者だけの言葉となってしまって、秩父でも地元の方言扱いされるようになってきたらしい。