「ジミィ言う」の巻
ケチケチと細かい注文をつけることを「ジミィ言う」という。職人さんなどが仕事中に施主からあれこれと注文をつけられると「ジミィ言われてかなァねぇ」という。これも秩父地方の方言である。
ジミというと派手の反対で、性格や態度、または、色合いや形などが落ち着いていることと思うところだが、それではこの場合当てはまりそうもない。
では、何がジミなのかというと、どうやら垢じみるとか所帯じみるなどのジミらしい元々は「染みる」が接尾語的につかわれたものだが、江戸時代後半から独立して使われるようになった。川柳に「床花を一両二分にじみるなり」がある。遊女への心付けは二両二分が定例、つまり吝ったということ。
ジミルは動詞だが、秩父人はケチッくさく細々と注文をつけたり、文句をいったりすることを「ジミを言う」と名詞的につかうことを発明して、今も使い続けているということである。