「よー」の巻
魚獲りは川で行う狩りだから、秩父でも古くは川狩りといった。
また、ヨートリとも。
釣竿はヨーツリザオ。
獲った魚を入れるために腰に吊るした籠はヨートリッコシゴ。
では、なぜ魚がヨーなのか。
魚は記紀、万葉の時代にはウオといった。
それは今でもつかわれる言葉だが、平安時代になってからイオともいうようになったが、ウオの方が正当な言葉と思われていたらしく、伝統を重んじる和歌ではウオ、散文ではイオと使い分けていた。
室町時代末に書かれた『七十一番職人歌合』という本には「米売り、白布売り、椀売り、土器売り、扇売り」などと並んで「いを売り」が記されているから、当時から専門の魚屋があったことがわかる。
このイヲが秩父でいうヨーに変化したもの。
今では秩父でもあまりヨーとは言わないが、トゲが固まった魚の目だけは秩父では今でもヨーノメである。
因みに、サカナが一般的な言葉になったのは明治以降のことである。