「ホリネー」の巻
『そんなにしいぇもらっちァホリネーよ』と言えば申し訳ないとか、
すまないと言う意味。遠慮しながらも『まさかホリネーこってがんす』と言えば
ありがたいというお礼の気持ち。
『大勢の前で歌うのはホリネー』とは、恥ずかしいと言うこと。
ホリネーはホイネーともいうが、こっちの方が原語に近い。なぜかといえば、
これは『本意なし』が訛ったものなのだから。
昨年、千年紀と言われた『源氏物語』などにも『本意なし』と言う表現はよく出てくる。
今風に読めばホンイだが、日本では中国から漢字を輸入し、
平安時代にそれに基づいてカナを生み出したが、長い間『ン』や『ツ』や濁点などは使わなかった。
そのため本意にもホイとカナをつけたため、
いつしかこれはホイと発音される言葉となって受け継がれてきた。
それが今までは共通語としては消えてしまったが
『源氏物語』の作者紫式部や『枕草子』の清少納言などが使っていた言葉が、
そのまま秩父に残っている。大事にしたいものである。