「ほかる」の巻
じゃが芋のおいしい季節。と言っても九州では2月から6月頃まで、関東では5月から7月頃までと、新ジャガ前線が移動する。ジャガ芋は慶長年間(1600年頃)にジャガタラから入ってきたジャガタラ芋の略称。
新ジャガは皮が薄く水分が多いから、茹でてそのまま皮ごと食べられる。今は改良されて新品種が多いから食感もいろいろだが、新ジャガの旨味は、茹であがりの皮がはじけたようなのをフーフー吹きながら食べる、あのホッコリとした味だろう。
ホッコリといえば、江戸後期にはサツマ芋の蒸したのをホッコリと呼んだ。『東海道中膝栗毛』では弥次さんが「女中方がほっこり買って喰ってござる」と言っている。
ホッコリという形容はホクホクという言葉を生んだ。秩父ではこれを動詞化してホカルという。「この芋はまさかホカル芋だなァ」などという言い方は、秩父独特なものである。