「ケードー」の巻
近所の家に出来事があった時、とりあえず駆けつけて庭先か玄関で挨拶して帰るのをケードージンギという。
顔見知り程度の人が通りがかって家人と顔があった時に、その場でお悔みを述べるのもケードージンギ。
ジンギは、お辞儀のジキで挨拶のこと。ケードーは街道という説もあるが、それは違う。
街道は海道とも書いて、都市と都市を結ぶ主要道路のことで、秩父でいうケードーは公道から外れて家の門に至る私道のことだから。
中世、垣で囲った屋敷や、開拓予定地、また小部落を垣内といった。
地名に〇〇ゲート、ガイト、ガヤトとあるのはそれであるケートーは垣内の道=わが家の道ではないか。
ケードーの両脇の田畑はたいがいその家のものであることからも、それはいえそうである。
また『曽舟集』(986)に、
「山里は垣内の道も見えぬまで秋の木の葉に埋もれにけり」があるが、
ケードーはこの垣下の道であるかもしれない。垣内、垣外どちらにしても屋敷に付属している道である。